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主にすべたかネオペの話。 100%擬人化注意!
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続きでどうぞ。

何故管理人が一族の伝統に背き、家を追い出されたのか。そのきっかけの物語。

大好きな彼は、いつも一人で、街のはずれの教会にいた。
いつも決まって同じ席で、いつも決まって同じように祈っている。
そして僕も、いつもと同じように彼の隣に座る。
「ねぇ、いつも何を祈っているの?」
―――そう、いつも。残り少ない、限られた時間のうちのいくつかを
彼は毎日こうして祈ることに費やしているんだ。彼には「いつも」がたくさんある。
「大切な人の為に祈っているんだよ」
彼は皺だらけの顔にさらに皺を刻んで、暖かい微笑みを浮かべながら僕に言った。
「たいせつなひと…?」
「そう。少しでも長く一緒にいれますように、良くなりますように、ってね。」
そして、狭い古ぼけた教会を見回し、誰に言うともなく、呟く。
「ここは僕らにとって想い出の場所だからね」
僕は何と答えればいいのか分からなくなり、いつものように今日あった事を話した。
弟と一緒にPekaGladeまで二人だけで行ったこと。些細なことで父親に怒られたこと。
身長が少し伸びたこと―――。彼はそれを愛おしそうに、うんうんと頷きながら聴いてくれる。
僕は彼が大好きだ。暖かい微笑みで包んでくれる、太陽のような匂いのする彼が。
「さあウィル。もう帰ろう。じきに暗くなる」
彼はいつも僕の家の近くまで一緒に歩いてくれる。
そして、「ありがとう」と僕の頭を撫でて、何処かにある彼の家へ一人で帰っていく。
僕は彼の多くを知らない。

ある日、いつものように教会に座っていた彼は、祈ることを辞めていた。
ただただ、ステンドグラスから漏れる光に目を細めている。
僕はそれが嫌だった。彼の「いつも」が一つ減った。
どうして祈らないのか、は聴けず、僕は目を逸らす為にいつも通りに話した。
彼はいつものように頷いて、微笑んでくれた。彼に「いつも」を見つけて、とても嬉しかった。
その日から、彼はあまり教会に姿を見せなくなった。彼の「いつも」がまた一つ消えた。
僕は毎日通っては彼の「いつも」を探した。彼の背中をあの席に見つけた日は、心底ほっとする。
そして、会えなかった分の話をするんだ。
その間隔がだんだん長くなっていき、久しぶりに会えたある日、彼は僕に言った。
「もうウィルの話を聴いてあげられないかもしれないね」
幼い僕でも、その意味は分かった。彼の小さくなった背中や、皺と寂しさの刻まれた顔をまじまじと見つめる。
いい案が思い浮かんだ。
「じゃあ、僕の血をあげるよ。こうしてお互いの親指を切ってね、合わせるんだ」
彼の骨ばった手をきゅっと握る。
「そしたらね、おじいさんも僕みたいにもっとたくさん『いつも』ができるよ」
本当は違う。一族の主である父さんの血でしか、その儀式は成立しない。幼い僕はそれを知らない。
彼は眉を下げて、今にも泣き出しそうな、情けない笑みを浮かべた。
「優しいね、ウィルは。でもね、私は歳を取りすぎたよ。それにね―――」
ステンドグラスに目線を移し、僕ではないほかの誰かに、言う。
「限られた時間を、自分の思うように…大切な人の為に生きれた。私は『幸せ』だよ。」
長く生きれるならもっと幸せなのに。そう思った。
次の日も、珍しく彼はいつもの席に座っていた。以前のように祈ってもいた。
彼の「いつも」がたくさん帰ってきた。僕ははしゃいで、跳ねるように彼の隣に座った。
ただひとつ、彼からは「いつも」の太陽のような匂いがしなかった。
ステンドグラスから漏れる光が、彼の不自然に俯いた顔に、美しい陰影を刻む。
僕が何を話しかけても、彼は何も答えてくれない、頷いてくれない。
彼の横顔を覗いた。そこにはいつもの暖かい微笑みがあった。とても『幸せ』そうだった。
悲しかったけれど、違う感情が僕の心にじんわりと生まれていた。悲しみよりもっと暖かな何かが。
いつかは、彼のように生きようと、彼の隣で誓った。
その日は一人で家路に就いた。

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